英語を聞けば聞くほど英語の音が聞き分けられなくなるリスク
前回は、「英語を聞いて理解できるようになるには、カタカナ脳の矯正が必要」という内容でしたが、今日はさらに恐ろしい話。
それは
「英語を聞けば聞くほど、英語の音が聞き分けられなくなることもある」
ということです。
ネイティブスピーカーの教師につく、英語の学習テープを聴く。いろいろな人が長時間かけて英語を理解するための練習をしているわけですが、実はこれが、より聞分けを難しくしていることもあるのです。
どんな怪談!?
脳神経学の研究で明らかになってきたのが、人間の脳は
「既に知っていることがさらに補強される傾向がある」
ということ。
たとえばredという単語を聞いたとき、まず日本人の頭の中では「レッド」という「カタカナ」で理解されます。
そして鉛という意味のleadもカタカナにすれば「レッド」。
どちらも「レ」という音として認識されるわけです。
つまり、
- redというRの音を聞く→「レ」
- leadというLの音を聞く→「レ」
と、どちらも「カタカナのレ」と理解。
その後、RとL、どちらかの音を聞くたびに
- 「R→ラリルレロ」
- 「L→ラリルレロ」
という認識が毎回補強されていき、脳内の
「RもLもどちらも日本語のラリルレロという音だよ」
という回路が強化されてしまうことになります。
***
最初に頭の中に「違う音ごとのバケツ」がある、と考えてください。カタカナ脳では「ラ」「リ」「ル」「レ」「ロ」と頑丈なバケツができあがっています。
そのまま、
「Lというバケツ」と「Rというバケツ」は別々
という区別をせずに、どんどんLとRを聞き続けると、聞くたびにもとからある頑丈な「カタカナバケツ」がより強化され、新たに「LとRのバケツ」を作るのが難しくなってしまうのです。
つまり、
「正しい英語を聞けば聞くほど聞き取りが難しくなる」
わけです。
ではどうしたらいいのか。
なるべく早い時期に、「違う音だ」という理解を確立するのが大事です。
こちらの論文(pdf)では、「音の違いを聞き取る練習」の方法をいくつか比較、すぐフィードバックを受けるのが大事、としています。
つまり、
1.似た音を含む単語を聞き
2.それがどちらかを回答
3.あっているか間違っているかを即座にビジュアルにフィードバックする
のが、最も早道だ、と。
そして、これをそのまま教材にしたのが、Listen-ITの中にある聞き取りゲームです。弱々しくてもよいので、まずは「英語の音のバケツ」を脳内に形成することで、これ以降の英語リスニングを効果的なものにするのが目的です。
・・・というか、個人的には、「どうしてこれを英語の勉強の最初に教えてくれなかったのか」というものです。ご活用くださいませ。
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『最近の日本語のラリルレロは[r]ではなく、[l]なのでは?』
お久しぶりです。
高校同期の三浦泰浩です。
最近事情があって英語の勉強をしております。
ちょっとChika-sanの本文のテーマからそれるのですが、
私も[l]と[r]の聞き分けに悩んでいます。
それで、辞書の発音記号の解説ページを見てみたのですね。
小学館プログレッシブ英和中辞典(第4版第2刷)の2163ページには、
以下のように書いてありました。
以下引用
/l/ 舌の先を上の歯茎につけて,息が舌の側面から出てくる.
例:(三浦註;発音記号が書けないので省略)
/ r / 舌の先をどこにもつけず,/l/よりも舌全体をやや後方に引き,唇をわずかに丸めて「ウル」の感じで出す音.
例:(三浦註;発音記号が書けないので省略)
以上引用終わり
これを見て、私は「三浦」と発音してみたのですが、
「みうら」の「ら」の発音の際、舌の先を上の歯茎につけて発音しています。
[miura]ではなく[miula]に近いようなのです。
妻も試したら、同じように舌を動かすそうです。
だからもしかしたら現代の「ラリルレロ」は[l]に近いのではないでしょうか。
私は「ラリルレロ」と言うとき、[r]のように舌の先をどこにもつけずに発音するってことはないですね。
ひょっとしてヘボン先生が来日していた幕末から明治初めは、
「ラリルレロ」はべらんめい調で[r]の発音だったのではないでしょうか。
それがいつの間にか、[l]の「ラリルレロ」に変わって行ったのではないでしょうか。
たとえば「おいらは勝麟太郎だよ。」という言葉を、
当の勝海舟本人は「oirawa katsurintaroudayo」と発音していたのに対し、
現代の我々は「oilawa katsulintaloudayo」と発音しているのではないでしょうか。
もし私の仮説が正しければ、表記と発音が違っており、
日本語の「ラリルレロ」が[r]だと現代日本人は誤解していることになり、
ますます[l]と[r]の区別がつかなくなってしまっているのではないでしょうか。
Chika-sanのご見解はいかがですか?
専門家に聞いてみたくなって、記事のテーマからそれた上に長文になりすぎました。
すみません。
投稿情報: 三浦泰浩 | 2010年4 月23日 05:45
何度かコメントでお返事したのですが、消えてしまった。。。。自分のブログに嫌われている昨今です。御返事遅くなってすみません。3度目の正直でもう一回。
日本語の「カタカナ」(またはローマ字表記)と、英語の発音が同じだ、とは思わない方が良いです。「らりるれろ」がRかLか、という発想自体が「カタカナバケツ」に英語の発音をあてはめようとするものなので・・・・。
とはいえ、日本語のらりるれろは、英語のRともLともつかない音で、どちらかというとLに近いです。口の形的にはLで、「らりるれろ」を強調して言うと限りなくLに近づきます。
それから、コース内で説明していますが、
>/ r / 舌の先をどこにもつけず,/l/よりも舌全体をやや後方に引き,唇をわずかに丸めて「ウル」の感じで出す音.
というふうに、Rは、舌の先の形ばかり説明されますが、そうではなくて、一番大事なのは、「舌の両脇が、歯の内側の付け根についている」ということです。日本語の「や」「ゆ」「よ」の音に近いです。「や」と言い始める時の、舌の両脇が、歯の内側の付け根についている状態で、舌にぐっと力を込めたのがRの音。
かように、RとYの口の形は似ているため、英語圏の舌が回らない幼児は「R」の代わりに「Y]と言うことがあります。Thereがゼヨ、となってしまうのでした。
投稿情報: Chika Watanabe | 2010年4 月27日 11:52
お忙しい中、ご回答ありがとうございました。
Thereがゼヨですか。
う~ん、奥が深い、というか想像以上に手ごわい世界ですね。
いま、オバマの大統領就任演説で、リスニングやシャドウイングに挑戦しているのですが、
allとoldがなかなか聞き分けられなかったりして、苦戦しております。
投稿情報: 三浦泰浩 | 2010年5 月 1日 01:55